プラスチックのリサイクル手法はマテリアル・ケミカル・サーマルの３種類に大別され、新たなエネルギー資源の投入を節約したり、環境負荷を低減するという役割を持っている。日本製鋼所は、大量消費社会から脱却し、環境への負荷が少ない「サーキュラーエコノミー（循環型経済）社会」の実現に取り組んでおり、特にケミカルリサイクルに注力している。

高品質なリサイクルプラスチック原料を効率的に生産

同社の二軸混練押出機「ＴＥＸ」は、通常のプラスチック及びエラストマーのコンパウンド用途の他に、脱溶媒・脱水・化学反応、フィルムシート成形など様々な製造プロセスのインライン・連続化に使用されている。現在注力しているケミカルリサイクルにおいては、選別された廃プラスチックを超高温下で効率的にモノマーガスに熱分解することで、残渣の効率よい除去が可能だ。回収されるモノマーガスは「ＴＥＸ」の下流のコンデンサーで高品質な液状モノマーとして回収する事ができ、バージン材と同等の品質のものが得られる画期的な技術である。また塩素分を含む廃プラスチックを熱分解させ、発生する塩化水素を効率的に除去する脱塩素プロセスも同様に「ＴＥＸ」で対応可能だ。これらのリサイクルプロセスに対応するため、広島製作所内のテクニカルセンターに各種テスト設備を揃えている。