地下インフラの維持管理効率化
デジタルで土木の未来を創造する
近年、自治体などにおけるインフラ維持管理や老朽化対策の効率化とデジタル技術の活用が急務とされている。埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故は、深さ10ｍの地下に埋められた下水道管の老朽化が原因とされており、インフラ老朽化対策の必要性が浮き彫りとなった。このような背景のもと、２０２４年に設立された建設テックスタートアップ企業のｍＢｉＲＳ（エムバース）は、自治体や電力・ガス・通信事業者など幅広いインフラ情報を管理する側と、施工業者や利用者をつなぐ、地下埋設物マルチ検索プラットフォーム 「ＧｅｏＭａｐｐＡＲ（ジオマッパー）」を開発した。

ＧｅｏＭａｐｐＡＲは、最新のＩＣＴ技術を活用し、地下に埋設された電力、ガス、水道、通信ケーブルなどのライフラインをペーパーレスで管理でき、現場確認や情報共有、閲覧・立会申請もスマートフォンで簡単に行える機能を備えている。これにより、情報照会から現地の事前立会までの各フェーズが効率化・省人化され、地下インフラの事前調査ミスを防ぎ、安全で効率的な管理を実現した。また、地下埋設物データをＡＲ表示することにより直感的な現地調査や、冠水した道路を通らないといけない時など災害時の利用も踏まえたフェーズフリー対応が可能。愛知県豊川市を皮切りに、県内における自治体において「自治体×スタートアップ」の連携による導入検証を進めている。自治体・公益事業向けは０円導入可。

ＧｅｏＭａｐｐＡＲは、業務の効率化や負担軽減に対する大きな期待が寄せられているという。今後、データ基盤の強化を進め地下ライフライン管理における業界標準化を目指し、全国の自治体における普及と課題解決を後押ししていく。