舶用や産業用のボイラ用バーナ、都市ごみ・下水汚泥・産廃焼却炉用バーナ、産業廃液・廃ガス焼却装置などの製品を提供している「ボルカノ株式会社」、そのこだわりは「環境への配慮」だと言う。例えば、ボルカノの廃油・ビルジ濃縮装置「ビルコン–Ｘ（イクス）」は、船舶内で廃油・ビルジが含まれる水分（ＦＯスラッジ、ＬＯスラッジ、ビルジウォータ、オイリービルジ、クリーンビルジなどに含まれる水分）を煮沸することなく蒸発させることにより、海上への廃油分を含む排水をゼロにする完全クローズドシステムを実現しており、「環境への配慮」へのこだわりがうかがえる。また、水分の蒸発を通じて廃油・ビルジの量を減らせることから、水分含有率が減った廃油を容易に焼却できたり、焼却時間を短縮できたり、廃油を陸揚げする場合の時間と費用を軽減できたりといったメリットを生んでいる。

船の大きさ、用途により違いはあるが、スラッジ、クリーンビルジの発生が１０００〜２０００Ｌ／日程度というモデル運転事例では、廃油・ビルジ濃縮装置を６〜11時間運転、３００〜７００Ｌまで濃縮。毎日の運転時刻を決めていることで運転中の手間がかからず、装置の保守も簡単だとの評価を利用者から受けている。廃油を陸揚げする場合、水分含有量を15〜20％まで濃縮した廃油は引取会社から「質が良い」との評価を得て買い取られるケースもある。廃油を産業廃棄物ではなく有価物として扱うことで、廃棄に必要な手続きの軽減といった効果を得られている事例も出てきている。これまで内航フェリー向けを中心に採用されてきた製品だが、同社はフェリー以外の船舶への提案を進めている。