泰喜物産は、豆腐づくりに必要な食品添加物、資材、用具などを販売する専門商社として、１９６９年に設立。２００７年には、埼玉県八潮市に試作実験専用のデモ工場を立ち上げ、豆腐関連の商品開発と製造技術開発に取り組める研究開発体制を整えた。そこから乳化剤フリーの凝固剤製剤「ＪＳにがりシリーズ」や、低せん断・高分散の豆腐用凝固機「サイレントコア」が誕生している。これらは、豆腐業界において豆腐関連商品の価値向上を図った全く新たな取り組みとして注目されている。

豆腐に、香り、滑らかさをもたらす凝固技術

同社が開発した「ＪＳにがり」は、植物油と天然ワックスの組み合わせによる、分散性と遅効性（凝固）に優れた凝固剤製剤。粗製海水塩化マグネシウム製剤「ＪＳにがり沖縄」と、塩化マグネシウム製剤「ＪＳにがりＮ70」の２つをラインアップ。乳化剤を使用せず、天然ワックスに保持された微細なにがり粒子は、豆乳中への分散に強いせん断力は必要としない。豆乳を強くせん断することなく、微細なにがり粒子を均一分散して凝固することで緻密な凝固組織をつくる。よって、味抜けしない、香りを感じる、滑らかな豆腐ができ、出来立ての美味しさが保持される。大豆品種の選択と配合、豆乳づくり技術が豆腐の美味しさに直接反映される。

手作りから大量ライン生産まで豆腐用低せん断凝固機

同社が開発した低せん断の豆腐用凝固機「サイレントコア」は、羽根のない遠心攪拌体「Ｃ–Ｍｉｘ」を搭載。液体に負荷を掛けることなく、強い攪拌力を得ることができるので、豆乳にダメージを与えず、しかも瞬間的に凝固剤を豆乳中に均一に分散できる。従来使用しているＭＫ箱がそのまま使え、硫カルから配合剤、塩マグまで、乳化剤を含まないすべての凝固剤に対応できる。特に、遅効性を有する「ＪＳにがり」では凝固は非常に緻密で、型箱の四隅まで均一凝固し、味抜けのない美味しい豆腐をつくることができる。

また、豆乳と「ＪＳにがり」を自動供給する「サイレントコアオート」は中規模生産に対応できる。さらに、大量生産ベルト成型ラインの連続生産に対応できる「ＮＳミキサー」を開発した。羽根のない攪拌体「Ｃ–Ｍｉｘ」をインライン導入に改良し、豆乳流路内で「ＪＳにがり」が微粒子状態で均一高分散でき、大量生産ラインにも対応できるようになった。原料大豆の風味の違いが引き出せ、品質も安定。さらに、製造ロスが非常に少なくなるなど、大豆や水にこだわる豆腐メーカーから好評を得ている。