長寿補強土（鹿児島県鹿児島市）は、長期耐久性を有する補強土工の開発と資材販売事業を行っており、補強土工の長寿命化に取り組んできた。その中で、開発してきた長寿命補強土植生型は、工事も簡便で森林斜面を１００年以上にわたって安定化することが解った。

森林斜面はめっきを溶かす酸性土壌

森林総合研究所（国立研究開発法人 森林研究・整備機構）が、日本全国の約２７０００箇所を調査した結果、日本の森林土壌の９割以上はｐＨ６以下の酸性である。このｐＨ６以下の酸性土壌では、めっきは急激に溶解し、金属の錆びが進行することも解っている。ところが、森林斜面では、施工がしやすい理由でめっき製品のみが使用され、約20年ごとの部分交換と、１００年後の全面入替えが提言されており、将来の維持時管理費や更新費が課題であった。

長寿命工法である理由

同工法は、エポキシ樹脂やＰＶＢ樹脂塗装・ＩＲ被覆鉄線・ガラス繊維コンクリートなど、長寿命化のために使用する部材は全て高耐久性を有し、徹底した防食対策がとられている。そうなると気になるのは価格だが、従来工法と比較し建設コストも同等となり、ライフサイクルコストでは、従来工法より非常に低コストとなる。

一般的な切土法面を対象に開発された同工法だが、森林斜面で樹木を残したまま施工したいと要請があり、砂防現場で適用した際には、非常に施工しやすと高評価を得ている。